第2章 理論を少しずつ実践として具現化していく──主に楽器を用いた授業を例に
2-2 楽器の奏法について──教える ? 考えさせる ?
これらのことから、関心・意欲等の向上に資するということは示唆されたと考えました。
一方、活動の後半(シンバルの音の出し方についてみんなで考えたあと)で、他の楽器の奏法を試行錯誤する際に、限られた時間でも学級全体で深く追究することを可能とするためには、用いる教材は全員が同じ物を持つことが望ましいと考えました。
そこで、後半部分を変更して、別の学校で実践してみました。注1
展開は、前半については先に述べた実践と同様に行い、続いて、教材として用いる楽器を、学級全員同じく手作り太鼓(塩ビパイプに布ガムテープをはったもの。【図8】参照)とした。その楽器を用いて奏法の工夫に取り組んだあと、リズム作曲の活動を行った(【図9】)。
まず「打楽器とは何か」「打楽器の望ましい奏法」等について、子どもたちと考えることから始めます。
(:教師:児童)
教師:先生もよくこういうところに腕をぶつけたりするんだけど、すごい痛いよね→児童:(多数)うん。分かる→
教師:打楽器はぶつけても大丈夫なのかな?→
児童:大丈夫!→大丈夫じゃない→大丈夫なように作ってある→
教師:大丈夫なように作ってある?→
児童:傷つく→
教師:傷つくって言ってる人もいるけど、みんなはどう思う?→
児童:うーん→激しくなければいいんじゃない?→傷つくときもあるけど、傷つかないときもある→うんと鋭いものだったら傷つくけど→
教師:鋭いものなら傷つく。鋭いもので叩いちゃだめなんだ。なるほど→
児童:だから、丸っこいものとか→
教師:丸っこいもので叩くの!→
児童:やわらかいもの→ふわふわなもの→
教師:ふわふわなものならいいんだね→
児童:ふわふわだったら音出ない→
教師:丸くて→
児童:やわらかい→この鋭いものはだめなのね→硬い→硬かったら音でなくなる→穴開く→弾力あるからいいけど……