奄美大島の名瀬港にむかう七百トンの奄美丸が錨を上げた。光三と総務部の宇都次長、末永秘書課長に加えて、数名の知事随行者を乗せている。光三が美恵子に豪語したとおり、見事な晴天に恵まれた出航になった。光三は多くの島に渡ってきたが、島旅の成否は天候に左右されがちだ。これまで島へ旅したときの天候は、かろうじて自分の八勝七敗の勝ち越しかな。そう振り返りながら、光三は今日の好天がとりわけ嬉しい。この出張では、…
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