受けた美瑛子は意外と冷静であった。前日ラインでの連絡から一夜を経て、心の整理はついていた。一度目の直腸がんは見事に克服した。二度目も克服してくれるであろう。日常の夫の心身の活動ぶりから考えても、まだまだ克服力はあるはず、と自身にも言い聞かせていた。それでも一度目は七十七歳時、今回は九十歳を一歳超えた老体である。一抹の不安はあった。その不安の払拭に、心の中で静かに両三度十字を切り、夫の安泰を真摯に…
自伝的エッセイの記事一覧
タグ「自伝的エッセイ」の中で、絞り込み検索が行なえます。
探したいキーワード / 著者名 / 書籍名などを入力して検索してください。
複数キーワードで調べる場合は、単語ごとにスペースで区切って検索してください。
探したいキーワード / 著者名 / 書籍名などを入力して検索してください。
複数キーワードで調べる場合は、単語ごとにスペースで区切って検索してください。
-
エッセイ『知らぬが佛と知ってる佛』【第6回】丹澤 章八
二度目の癌手術、どんなに不安感情を払拭しようとも「知ってる佛」は望んだ返答を返してはくれない
-
エッセイ『朝陽を待ちわびて』【第6回】桜木 光一
「なぜ投身前に見つけてあげられなかったのか?」自問自答は果てしなく続き、何度も悔やんだ
-
エッセイ『朝陽を待ちわびて』【第5回】桜木 光一
「死んではならぬ」10分おきに心拍数の異常を示すモニターの警報が鳴り続けた…
-
エッセイ『ぼくのこと、覚えてますか』【第5回】竹山 悟
「ハチのムサシは死んだのさ」 この歌を聞くと今も転校初日の光景が鮮やかに蘇ってくる
-
エッセイ『WHAT A FANTASTIC RIDE ! せんべい屋さんの娘からアメリカの外交官になった私』【第9回】パーディ 恵美子
イスラエルに存在する社会主義的生活共同体キブツ。ここには給料というものがなく、代わりに与えられたものというのが…
-
エッセイ『えこちゃんのドタバタ人生譚』【第4回】おかの えいこ
母とは対照的に穏やかだった父 ささやかな思い出を支える父のやさしさ
-
エッセイ『朝陽を待ちわびて』【第4回】桜木 光一
8時間の手術、拒絶反応が発生するとすべてが無になる それでも決断を悩む理由はなかった
-
エッセイ『屋久島、そして雲ノ平へ』【第7回】小梨 里子
ゼミ生活を満喫していたらあっという間に卒業間近になり地元に帰る前にあるチャレンジをすることに
-
エッセイ『続・人災 子どもは親を選べない ~“毒親”は“家”を滅ぼす~』【第3回】深草 カオル
"毒親"のはじまりは何処にあるのか....。学者であった父方の祖父と母の関係をたどる
-
エッセイ『ふしぎに出会う日々』【最終回】西谷 正文
古くから遠流の地として定められていた隠岐。鎌倉時代には、後鳥羽上皇と後醍醐天皇が隠岐に流され住民は現在の「牛突(うしつき)」につながる催しなどで上皇を慰めていた
-
エッセイ『雨のち曇りのち、ハル!』【第8回】春野 真理
「これはずっと変わっていない」彼女が人を助けるハルトラマンと呼ばれる理由
-
エッセイ『人生のマイルストーン』【第2回】中嶋 照夫
「大型キャンピングカーで北米大陸横断冒険行」に向け知人の新聞記者に記事にしてもらえぬかと相談。いつの間にか朝刊に掲載され、賛同者からの突然の電話にびっくり!
-
エッセイ『記憶の旅に栞紐を挿み』【第2回】村瀬 俊幸
「何だか足がおかしい。力が抜けて足の感覚がなくなっていくような気がする」急変する家族のかたち
-
エッセイ『せっちゃんのアメリカ滞在日記 』【第2回】田渕 節子
娘の目に映る父の姿。優秀な両親の期待を背負い大学へ進学するも…
-
エッセイ『貧乏赤裸々』【第12回】平瀬 春吉
職に就かずバイトもせず〝自遊行路〟だ。退職以降は自由に生きて自分を活かすことが、本来の人生ではないか…
-
エッセイ『知らぬが佛と知ってる佛』【第5回】丹澤 章八
2月30日に消化器外来を訪れたのに、あなたの検査は5月の連休明けになると告げられ…
-
エッセイ『ぼくのこと、覚えてますか』【第4回】竹山 悟
「大きくなったら、東大で会おうな」と言葉を掛け合った仲良しの友達。東大受験をして不合格だったけれど気にせず会いに行くと…
-
エッセイ『WHAT A FANTASTIC RIDE ! せんべい屋さんの娘からアメリカの外交官になった私』【第8回】パーディ 恵美子
あの日本赤軍最高幹部の重信房子に風貌が少し似ていた(!?)ためか空港の入国検査で私だけ別の部屋に連れていかれ身体検査をされて…
-
エッセイ『えこちゃんのドタバタ人生譚』【第3回】おかの えいこ
毎日のように姉ばかり怒るようになった母。ニコニコしていた姉も次第に笑わなくなり…
-
エッセイ『朝陽を待ちわびて』【第3回】桜木 光一
妻の自殺未遂の原因は夫である私のDVと思われつらい日々。ある日廊下で号泣すると…