【前回の記事を読む】クラスでの事件からまさかの家宅捜索に。――取り調べを終えた私を待っていたのは母の怒号と泣き崩れるりゅう君の姿だった
事件
この数ヶ月後、示談が成立した。私が未成年であったこともあり、普通は家庭裁判所の審判を受けるが、事件の重大さから検察庁に書類送検された。つまり事件の内容から考えると子ども扱いはできず、大人と同様の罰を下す、ということだった。
警察署や検察庁での取り調べで、嘘は1つもつかなかった。検察庁で担当してくれた人はとても穏やかで、何事にも動じない、巨大な岩のような人だった。私は淡々と事実を述べた。
彼は言った。
「今回の事件をきっかけに改心して全うな人間になれば、今回の事件が今後のあなたの人生を邪魔することはない。でも今後、あなたがまた事件を起こせば、今回のことも考慮して罪は重くなります」
結果的には「無罪」だった。この事件のことはよく思い出す。
なぜあそこまで彼女に執着し、仕返しをしなければならないという気持ちになっていたのか。冷静に考えれば放っておけばいい話だ。でもそれができなかったのだ。私の歪んだ心と曲がった正義感とが、それを放っておけなかったのだ。