二〇一六年三月十日(木)曇−雪昼ごろから降りだした霙(みぞれ)が、午後には雪に変わった。もう今年は降らないものと思っていたが、きっと、母が見る最後の雪になるのだろうかと思えば、つい感傷的になってしまう。「毎年、冬の終わりに、こんなふうに雪が降るでしょ。この在庫処分の雪が降り終わったら、次は春が来るからね。もうすぐ春だよ。今年の桜は早く咲くといいね……」その時、「そうだ、いつか……」と、母が言った…
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第38回】残間 昭彦
母が見る最後の雪…「在庫処分の雪が終わったら、次は春だよ」
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第37回】残間 昭彦
いつか死ぬとわかっていても、期限を言われた瞬間始まる恐怖
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第36回】残間 昭彦
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第35回】残間 昭彦
父は多くの不満と怒りを抱え、実に不本意な形で世を去った。
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第34回】残間 昭彦
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第33回】残間 昭彦
母は次第に顔をゆがませ、電話を突き返しメソメソ…
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第32回】残間 昭彦
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第31回】残間 昭彦
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第30回】残間 昭彦
母は「いつも一緒にいて……」と、繰り返し私に言った
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第29回】残間 昭彦
遠くへ行ってしまう…追い縋り、大声を出して泣きたかった
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第28回】残間 昭彦
「本当のことだけ言って」冗談も解らなくなっていた母
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第27回】残間 昭彦
「でも高いんでしょ?」薬代を気にする母に息子は…
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第26回】残間 昭彦
「お前も口に入れてごらん……」モグモグしながら母は言う
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第25回】残間 昭彦
「根性みせてやる!」母は動かなかったはずの右足首を…
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第24回】残間 昭彦
泣き出した母に「一緒に歌おう」とリードするつもりが…
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第23回】残間 昭彦
恋人未満の関係を脱しないが、私は彼女を待とうと決めていた
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第22回】残間 昭彦
無邪気な笑顔を、いったいいつまで見ることができるだろうか。
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第21回】残間 昭彦
想い出のアルバム…数週間かけて母の半生の写真集を作り上げた
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第20回】残間 昭彦
「歌って楽しいんだね」母は言葉の発声もはっきりと戻ってきた
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第19回】残間 昭彦
飛び抜けて高価な薬品…カード地獄の雪ダルマが大きくなった