夜になるのを待って、杉井は便所に行くふりをして乾燥場に行った。そこには他人の襦袢袴下がそれぞれ五、六枚干してあった。盗まれた枚数分失敬して部屋に戻り、寝台に潜り込んだが、なかなか寝つけない。盗んできた下着は若干黄ばんだ中古品で班長の代用品にはならない、こんなことでは当番兵として失格の烙印を押されることは必至であり、そうなれば二ヶ月後の検閲で落とされてもう出征だ。そんなことを繰り返し考えているうち…
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