俳句・短歌 歴史・地理 歌集 歴史 2021.01.06 歌集「風音」より三首 歌集 風音 【第23回】 松下 正樹 何気ない日常にある幸せを探しに。 優しい風を運ぶ短歌集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 柿熟れてまっ先に来るひよどりの 品さだめする声のするどき 忙しき仕事の合間に一杯の 熱きコーヒーの香りにひたる 錆色の庭に散りしく柿落葉 時雨に濡れて冬に入りゆく
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『綻ぶ糸を手繰り寄せ 』 【第3回】 ホエラニア 「いたあああああいいいいいいいいよおおおおお」錆びた釘束を血反吐と一緒に吐き出しているような悲鳴が、かろうじてお前とわかる声音で耳をつんざいた。 画面を切り替えてゲーム実況を始める。明日にはまた二人でやれるさ、さぁ、隣ではお前が笑っているんだろう? なんて気を持ち直せるのに、心がざわめく。隣を見つめた。温風に暖められた室内であるはずなのに、そこだけぽっかりと空洞が空いたように寒々しかった。配信も終盤に差し掛かって、もう一回電話してみようかと提案した。色めき立つ視聴者の声はもう警察に行ったほうがいいと言うもの、女の影を匂わせる声ものストーカ…