【前回の記事を読む】十歳に満たないくらいの男の子…幽霊だ。喉が、ひゅっと鳴った。――その時「あははは」幽霊が笑い、天使のような顔で…マジメは、何も恐れていない様子で、ずかずかと家に入っていく。そして、さっき手の影がいくつも現れたガラスの引き戸のそばで足を止めた。「あ」そう声を漏らしたマジメの背中に隠れ、恐る恐る様子を窺うと、十歳に満たないくらいの男の子が、和室の隅に立っているのが見えた。幽霊だ。…
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小説『いつか海の見える街へ[人気連載ピックアップ]』【第9回】須賀 渚
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小説『不倫の何がいけないの?[人気連載ピックアップ]』【第10回】安本丹
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エッセイ『孤高の歩み—虚無から創造精神へ—』【第8回】梅崎 幸吉
学校から帰ると離れ離れになったはずのクロが飛びついてきた。私は嬉しかったが、口の周りは傷つき、血が滲んでおり...
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小説『大王の密使』【第9回】都丸 幸泰
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「創造性って、教えられたら、方程式を解くように身に付くの?」――育成に必要なのは、受験勉強のような解への導きではなく…
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小説『伊豆の御社』【第9回】ほそや まこと
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