【前回記事を読む】リサイクルのお店で出会った家具に、前の持ち主の「もったいない」が見える瞬間

第2章 自身の歴史&考え方

「真っ白い紙」

私は、初めて行動を起こすとき、自分の中に “勇気を出して行動しようか? それとも、何もせずただ見ていようか?”と思う二つの心があることに気が付きます。我々は、常に二者択一をしています。自分自身の心の中に、いい子と悪い子の存在を感じることもあります。積極的な一面と消極的な一面です。

0歳児の赤ちゃんは、生まれて初めて見えるモノ、触るモノ、置かれた環境で、周囲からの刺激を肌で感じ、受け止めていきます。そしてゆだねられた環境の体験を下地に、情操は育っていくのでしょう!

0歳児、1歳児の赤ちゃんに、初めての体験をさせてあげる瞬間、とても大事ですね。もしかしたら、その子の一生に関わる選択をその瞬間している可能性があるのですから。赤ちゃんは、何も言えず、されるがまま、置かれた環境のままです(体験させるのは親かもしれないし、保育士かもしれません)。

体一つ、置かれた環境での対応に、体をゆだねているのです。そう考えると保育士という仕事は、とても怖い仕事です。その子の一生を決めているかもしれないのですから。それだからこそ、やりがいのある仕事だとも言えます。

実は私は、保育士になりたかったわけではありません。

「美大に行きたい」と母に伝えたら、「行ってどうするん(どうするの)?」と一言。そこを説得できず、あきらめ、しぶしぶ保育の道に進みました。

その時に思い浮かんだのが、保育園の先生でした。保育の仕事では子供たちに絵を描いたり、モノを作ったりすることがある! それらの場面が頭の中に浮かんだのです。それは、私の絵が描きたいという創作意欲に近い、と感じて保育の道に進みました。

その時の母の一言は、私のその後の人生において大きく舵を切るきっかけになったのです。今考えると親に決められた大きな岐路だったと思います。その時は、何も言い返せない自分や強い母に対して落ち込んだ記憶があります。

母の潔いその一言は、そのまま頭の隅に残り、今でも声が聞こえるようです。

でも今は、40年も保育の仕事を続け、保育の面白さを自身のやりたいことと重ねて、活き活き仕事ができています。