【前回の記事を読む】味方にも多数の犠牲者が出る…国会議事堂襲撃前夜、中止を訴えた側近に総裁は「死ぬのが怖いのか?」と冷たく言い放ち……

サイコ7――コンビナートの決闘

悄然として立ち尽くしている麻利衣に誰かが声をかけてきた。

振り向くと、池田友美という大学時代の同級生だった。おしゃべりで陰険で、一番苦手だった人物である。

「麻利衣じゃない。久しぶり。元気してた? ねえ、今の人誰? 知り合い? 結婚式に白いワンピースで来るなんて非常識じゃない? まさか、新郎の元カノだったりして」

「そんなんじゃないわよ。私の職場の上司なの」

「職場? あの人、ドクターなの?」

「いや、私もう医師は諦めたの」

「えっ、そうなの? まあ、麻利衣はその方がいいかもね。私、学生の頃から麻利衣は医師に向かないんじゃないかって思ってたのよ。

ほら、麻利衣、ちょっとどんくさいところがあるじゃない。でも、人それぞれ幸せの形は違うって言うからさ。ドンマイ」

身内だけのパーティーにすると聞かされていたのに、千晶は結局両親の主張に押し切られたようで、宴会場には老若男女、大勢の人々が参加していた。

円卓の席に着いてからも友美ら同級生たちが同じ席だったため、彼女らの仕事やプライベートに関する自慢話やその場にいない同級生の悪口などを麻利衣は散々聞かされた。

だが彼女は心ここにあらずという感じだった。ずっと賽子のことが頭から離れなかったのである。

30分も経たないうちに彼女は友美が話しかけているにもかかわらず突如として立ち上がり、呆気に取られている同級生たちを置き去りにして新郎新婦の席へ向かった。

「千晶、彩斗さん、ご結婚おめでとうございます」

千晶は麻利衣のただならぬ様子に気づき、戸惑っているようだった。

「ありがとう。麻利衣、賽子さんは?」

「賽子さんはもう帰った。千晶、ごめん。私、やっぱり賽子さんの所に行かなくちゃ」

「麻利衣……」

「二人の幸せを心から願ってるよ。じゃあ行くね」

何か言いたげな千晶を背にして麻利衣は決然と会場を出て、急いでエレベーターで一階に下り、結婚式場を出た。

しかし、普段から「テレパシーがあるから必要ない」と言って携帯を持っていない賽子をどうやって探そうかと困惑していると、背後から何者かに声をかけられた。

「こんにちは」