【前回の記事を読む】小4を過ぎて、息子は別人のように反抗的に。疲弊した母はやむを得ず、エビリファイという薬を服用させると、彼は2日の間眠り続け……
第一章 生命力を支える家族
障がいがありますが、なにか?
時には薬に頼る手も
眠りから覚めた彼は別人のようになった、とお母さんは言った。
落ち着いて人の話が聞けるようになった。
些細なことでキレなくなり、学校の担任からも落ち着いてきた、と褒められたそうだ。転校の話は立ち消えになった。
お母さんは山を乗り越えたかのように久しぶりに笑顔で私に話をした。私は良かったと、ひと安心した。
必要な時は薬の力を借りることもためらわない方がいいと私は思っている。
障がいがあっても、九から十歳頃、つまり四、五年生の頃は、ちょうど少年から青年への変わり目だ。
声変わりし始める頃、行動が粗暴になったり、反抗的になったりすることは必ずと言っていいほど、どの子にも出てくる。その年齢の時期は荒れるので、支援学級在籍の自閉症の男子が担任から支援学校転校を勧められたケースは何例も耳にしてきた。
服薬した子もいれば、それほど暴力的ではないので服薬せずに、お母さんが我が子の行動に慌てないで対応し、乗り越えたケースもある。
支援学級担任からの行動指摘、転校提案、きつい面談はお母さんが子どもを信じ続けることで凌(しの)いだのだ。
そしてその時期が過ぎて六年生になる頃に、どの子もぐんと落ち着いたような雰囲気が出てくることも多い。そのことは数多い思春期の療育経験から教えてもらった。
しかし中には転校して環境を変化させた方が落ち着く場合もある。
どのような対応が子どもを成長させるか、見極めることも大切だ。
いずれにしても諦めずに子どもの成長を信じ続けることの大切さを私は多くのお母さんから学んだ。
信じていれば子どもはいつか応えてくれる。