「国会議事堂襲撃作戦の準備は順調に進んでいます。しかし、作戦予定日が7月5日となっていますが、この日は国会は閉会中のはずですが」

「その辺は心配いらんよ。テロリストによる国家転覆の陰謀が発覚したという理由で臨時国会を召集する手筈になっている。だが、必ず河原賽子が我々の邪魔をしてくるに違いない。その時に自らの息子と感動の初対面をさせてやるのだ。これほど心が躍ることはここ数十年なかったぞ」

鷹山の高笑いが広間に響き渡った。

「山口貴之は神撰の幹部の一人だ」

その日の夜、麻利衣が鍬下の危難を報告すると賽子が言った。

「嫌味な奴で昔から大嫌いだった」

「知ってるんですか?」

「ああ。超能力(フォルス)訓練の総監督だったからな。だからと言って大した能力があるわけでもない。病殺能力といって、近くにいる人間を病気に見せかけて暗殺するくらいしか能のない奴だった。完全能力者(パーフェクトサイキック)である私に嫉妬してか、いつも目の敵にされたものだ」

「じゃあ、鍬下さんも山口の超能力にやられたって言うんですか?」

「鍬下が神撰について嗅ぎ回っているのに気づいて暗殺しようとしたんだろうな」

「許せない……」

超能力の話が真実かどうかはともかく、麻利衣は山口に怒りを覚えた。

「そんなに許せないのなら、今からお仕置きに行ってやるとするか」

そう言うと賽子は太極拳服に着替え始めた。

「えっ、まさか今からその神撰本部に乗り込むつもりですか?」

「もちろんだ。おまえも身動きしやすい服に着替えた方がいいぞ」

「えっ! 私も行くんですか?」

「当たり前だろ。おまえは私の助手なんだから。もっとも、おまえは何もしなくてよい。ただ、私の華麗な戦いぶりを目撃して記憶に焼き付けておけ。それがおまえの仕事だ」

「そんな……」

次回更新は5月29日(金)、21時の予定です。

 

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