はじめに

1921年にインスリンを発見したフレデリック・バンティング氏、1999年「糖質は体内(肝臓)で合成するのが基本である」という糖質ゼロの「釜池理論」を確立した釜池豊秋先生、そしていみじくも著者中村は皆、整形外科医です。整形外科医はメスを握る外科系ですので、良い意味でも悪い意味でも「単純明快・白黒をはっきりさせる」傾向があります。

その整形外科臨床医が、2名の管理栄養士と共に、2005年から2024年の約20年間で3630例の「肥満外来」を行ってきました。この本は、そこで学び徐々に醸成していった内容を記載したもので、従来の日本の栄養学理論とは全く違うものとなっています。栄養学の「不都合な真実」です。

主に肥満(脂肪細胞肥大病)・糖尿病・脂質異常症・高血圧症・動脈硬化を中心に書かれていますが、整形外科的疾患である変形性膝関節症、腰部脊柱管狭窄症、椎間板・椎間関節変性などの腰痛・下肢痛、多くの疾患にも効果絶大です。

「管理栄養士が全国で行っている栄養指導、糖質50〜65%は正しい」「厚生労働省や日本糖尿病学会が推奨しているから正しい」と思っていませんか?

2025年3月に終了したNHK朝ドラ『おむすび』でも米(糖質)が推奨されていました。そして、4月からのNHK朝ドラ、やなせたかし氏の人生を描いた『あんぱん』でも、小麦のパンに「あんこ」が入っています。「糖質の」です。現在、食事や間食に「糖質」があるのが当たり前になっており、現代文明では一般的な考え方です。

また、一人当たりの「消費量」は年々減っているにもかかわらず、2025年6月現在、米不足ということで米の価格は上昇しています。まだまだ日本人は米を多く食べているようです。しかし、健康のための糖質50〜65%摂取に何のエビデンスもなく、有害です。

糖質を摂取すればするほど不健康になり様々な病気が発生します。肥満、糖尿病、動脈硬化などです。全身の血管が障害を受けます。しかし、全国の医学部では、そのように教育されていません。教育とは恐ろしいものです。