【前回の記事を読む】片頭痛は緑色の光を浴びることが有効!? 頭痛の回数が減り、生活の質も改善する可能性が
第2章 片頭痛の謎を解く ~最適な治療法とは
6 消炎鎮痛薬の使用過多は逆効果
痛みを抑えるはずの消炎鎮痛薬やトリプタンを飲みすぎてしまう薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)が問題になっています。頭痛もちの方が、痛みに対する不安から消炎鎮痛薬を早めに飲んだり、頭痛がないのに「痛くなったら困るから仕事に行く前に飲んでおこう」と頻繁に消炎鎮痛薬を飲むことで、かえって頭痛を悪くしてしまい、1か月に15日以上起きてしまう頭痛のことです。
こうなってしまうと頭痛が慢性化しやすくなります。
慢性化すると、消炎鎮痛薬の効きが悪くなり、常に頭が重く集中力がないという状態になります。消炎鎮痛薬の多用により胃潰瘍の発生が増加、腎機能障害を引き起こし、透析や腎不全で命に関わることも。さらに消炎鎮痛薬を多量に服用していると脳梗塞や血管障害のリスクが高まり、認知症のリスクが高くなるというデータも出ています。
効かない消炎鎮痛薬を多量に飲む人は片頭痛が慢性化しやすく、急性期治療薬の効果が不十分な人が重症化しやすい、という報告があります。
1か月に10日以上急性治療薬を服用している人は、ぜひ予防治療を検討することをお勧めします。
薬を飲めば痛みがとれるからいい、ではありません。
片頭痛の慢性化を防ぎ、将来の脳血管障害・認知症リスクを減らしていくためにも予防が大切なのです。
