7 発症抑制薬(予防治療薬)について
急性期治療薬ではコントロールできず、1か月に頭痛が2回以上または生活に支障のある頭痛が月に3日以上ある患者さんや、急性期治療薬で十分な効果が見られない患者さん、急性期治療薬が使えない患者さんには予防治療が行われます。
痛いときだけ薬を飲みたい、という考えの方もいますが、寝込んで何も手につかなくなってしまうほどひどい頭痛や、痛み止めの効果が不十分で痛みに耐えながら仕事をしている日本人のなんと多いことでしょう。
何度も片頭痛発作を繰り返すことで、脳が元に戻らないような異常、脳梗塞や認知機能障害のリスクも高くなることが知られています。
我慢は美徳ではありません。片頭痛の発症をできるだけ抑えることが、将来の脳を守ることになるのです。
例えば、てんかん発作は、一度の発症でも脳にダメージを与えるため、症状がなくても抗てんかん薬を飲み続けます。片頭痛も同じです。
予防治療薬には飲み薬と皮下注射があります。
痛くなりそうなときだけ飲むのではなくて、基本的には痛みがない日も定期的に使用する薬です。片頭痛発作の起こる回数や痛みの軽減、急性期治療薬の効きが良くなるなどの効果があります。
従来の内服の予防薬は抗てんかん薬、抗うつ薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬で、神経の過剰な興奮を抑えたり、脳の血管を安定する作用によって片頭痛発作の頻度や程度を軽くする効果があります。これらの内服の予防薬は他の疾患の薬がたまたま片頭痛の予防に役立つから転用されたに過ぎなかったのです。
予防効果が実感されるまでに大体2か月から3か月かかります。効果が感じられないと、我慢して飲み続けることが難しく、めまいや眠気などの好ましくない副作用のために続けられない人が多くいました。
日本人の片頭痛患者さんに対する調査では、1年間で内服の予防薬を中止された方が何と82・5%もいて、中止までの期間は平均56・5日でした。患者さんはすぐに副作用なく頭痛をなくしてほしい、と願っているのに、内服の予防薬はそのニーズを満たしていなかったのです。

次回更新は7月13日(日)、8時の予定です。
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