6.情けは人のためならず

人に情けをかけると回り回って自分に巡ってくるということ。 2015年11月

母はかつて文化サークルで英会話を学んでいた。もう20年も前になろうか。年代が様々なその時のお仲間数人とはとても気が合い、サークルに通わなくなってからもずっとつきあいが続いている。

母より年長の90代のおばさまが先日わが家に母を見舞いに来てくださった。その方自身もたびたび手術を受けられ、夏には大ケガもされ、外出はままならないだろうに、2ヵ月に一度ニューヨークから帰省されるという息子さんが運転されるレンタカーでいらした。

「佐伯さんにはずいぶんお世話になったのよ」とおっしゃり、こんなことがあった、あれも佐伯さんのおかげ、これも佐伯さんがいなければできなかった、と母が世話した食事会や旅やイベントなどの話をされた。

疲れやすくなった母は、お友達との語りも1時間位しかもたない。「佐伯さんが大変な時には何が何でも駆けつけなくては」と、わずかな時間であっても、佐伯さんの顔を見たい、自分が来ることで少しでも励みになれば、と、無理をして来てくださった。

母は涙を流して再会を喜び、感謝していた。そして、私の友人たちも母を見舞ってくれる。小学生のころよく遊びに来て、知香さんのお母さんのお料理やお菓子を頂いたのが忘れられない、憧れの母親像だったと言ってくれる小中学校の同級生。

ウィーンに行くにあたって、かつてのご自分の旅のことを写真を見せながら話してくれたお母さんには感謝していると来てくれる高校の同級生。