「お母さまにはよくちらし寿司をごちそうになりましたね。本当においしくて、まだ舌の上に味が残っているくらいです」とプレゼントに手紙を添えて、ご主人と見舞ってくれた大学の同級生。皆の親切が心にしみる。

情けは人のためならず。

かつて母が親切にした方々から、今一杯の力を頂いている。

7.禍を転じて福となす

自分にふりかかった災難や失敗を、逆に自分に有利になるようにすること。2015年12月

年末に交通事故に遭ったことがある。出勤中、家から2~3分の所にある横断歩道で信号無視のトラックに当てられ顔と頭にケガをして18日間入院した。

私が渡ろうとした横断歩道の信号が青になったのは確認した。その瞬間の記憶はない。気がついたら道路に倒れていた。「何がどうなったか全然わからん……」と口走っていた。

コートや持ち物に血がついていた。人から助け起こされ、救急車に収容され、聞かれた名前と住所と電話番号はしっかり答えていた。病院に着き、時計を見て、あわてて「会社に電話してください」とお願いした後、しばらく意識を失っていた。

ひき逃げだったが、その日の夕方、目撃者の証言で加害者が見つかったという連絡をもらった。

ベッドの上で、いろいろ考えた。どうして私がこんな目に遭うのか、どうしてこんな時期にこんなことになったのか。もう少し家を出るのが早いか遅いかであれば事故に遭わなかっただろうにと悔やんだ。