プロローグ

2020年10月に34年と数ヵ月いた会社を定年退職した。

今は派遣会社に登録してフルタイム勤務し、その合間に障害者グループホームの夜勤に入っている。

町で学びと交流の会「おとなの楽校」を主催し、たまに「ペシャワール会」(パキスタンとアフガニスタンで人道支援をされていた故・中村哲医師の活動を支援するNGO)のお手伝いに行き、月3回ほどあるレッスンに通い、月3~4回町の高齢者の介護予防の集会の運営補助をしている。

趣味は、茶道、イタリア探求、新聞投稿、自費出版、集まりごとの幹事、劇団四季の舞台鑑賞。

マイルストーンアートワークスを主宰する方と知り合ったのは2008年のことだった。富山でギャラリーを経営している同年代の女性。彼女が国立大学の公開セミナーで福岡に来訪された折に知己を得た。そして、彼女が作るネット誌に毎月エッセイを書かないかとお誘いを受けた。

2009年5月から寄稿しており、2015年4月からは毎月ことわざにまつわるエッセイを書いている。

私の書く原動力は大学受験に失敗したことに発している。自分の思いと違う大学に通いつつ悩んでいた。同じ思いを持つ友人と「私たち同病相憐れんでいるよね」と話していた。

会社生活が長くなり入社した時の熱い思いが失せてきたころ、新入社員を迎えると「初心忘るべからず」ということわざが思い浮かんだ。

ひき逃げ事故の被害者で初めての入院生活に悔やんだものの、その体験が人脈や可能性を広げることにつながり、「禍を転じて福となしているよな」と思った。