2.同病相憐れむ

同じ悩みを持つ者は助け合うものだ。  2015年5月

高校を卒業して進学した先は、志望の大学でも学科でもなかった。高校時代落ちこぼれではあった。が、自分なりに「この大学で学ぼう。国文学を研究しよう」と夢を描いていた。

私たちは、共通一次試験一期生だった。思うような点数が取れなかった私は、希望の国立大学は受験できなかった。

ある私立大学のいくつかの学科と県立大学を受けたが、結局合格したのは私立の一つの学科だけだった。浪人する覚悟はなく、親からも通ったところに行くよう勧められた。

児童教育学科。保母や幼稚園教諭養成が主だった。私は、児童文学という道もあるかと思い、通うことにした。

しかし、社会福祉、保育原理、養護原理……受講していると、やはり「違う」と感じた。なじめなかった。鬱々として毎日を過ごしていた。

そんな時、K子と出会った。その学科で満足していない一人だった。同病相憐れむ二人は、他の人には言えない気持ちを分かち合い、この先どうするかを考えた。3年生になる時に、転科しようと計画した。同じ大学の他の学科に活路を見出そうとした。

が、結局私はあきらめた。私が本当にやりたい学科はその大学にはなかった。その大学で選ぶなら、ここ、と思っていたが、1~2年でやっていないその専門分野の授業を取り忙しくなることを考えると、そこまでしてやる情熱はなかった。

今いる学科で卒業はきちんとする、大学時代にしかできないことを自分なりに楽しむ、と決めて、児童教育に残った。

K子は転科し、忙しい3~4年を過ごし、卒業し、就職した。苦しい時を一緒に過ごしたK子は今も大切な友人の一人だ。あの時、K子がいてくれたから、悩ましい毎日を乗り越えられた。K子との縁を思うと、やはり児童教育に行ってよかった。