【前回の記事を読む】「何がどうなったか全然わからん……」と口走って意識を失った――ひき逃げだった

8.天災は忘れたころにやってくる

天災は恐ろしさを忘れたころにまた起こるものだから、用心を怠ってはならないという戒め。 2016年4月

恐かった。まだ恐い。

2016年4月14日21時26分 マグニチュード6.5  益城町で震度7。

4月16日1時25分 マグニチュード7.3 熊本各地で震度6強。このエネルギーは前回の地震の16倍という。これが本震とされた。

4月18日20時42分 マグニチュード5.8 産山村、阿蘇市、竹田市で震度5強。

熊本地震はまだ終息していない。

異例ともいえる地震の連鎖。気象庁は「広域になるとはまったく想定していなかった」と言っていた。

2005年、福岡県西方沖地震を体験している。マグニチュード7.0。その時、私は福岡市内の商業ビルの5階にいた。突然、爆発かと思うような大きな音がして、大きな揺れが来た。普通に立っていられず、床に振り投げられた。

周囲の人たちのあわてようは、パニック映画かと思うようなシーンだった。友人と食事をする予定だったが、お互い顔を見て無事を確認した後はすぐに家に帰り、家族と家の無事を確かめた。

当時、日本のあちこちでの地震被害の話を聞いても、自分にふりかかることとして考えたことはなかった。福岡でこんなことが起きるとは思いもしなかった。

そんな体験があるにもかかわらず、さほど被害がなかったこともあり、やがて地震の恐怖からは解放され、非常時の備えもしていない。今回は何もなかったが、やはりいざという時の準備はしておくべきだろう。

天災は忘れたころにやってくる。

自然の前では人は力がない。災害には常に準備を怠らず、毎日を精一杯過ごさなければと思う。

熊本で被災された方々の一日も早い復興を願う。

不安ななかにも嬉しいことがあった。「九州地方で地震」の報に、すぐに関東や関西の親戚、妹・弟、友人たちが、大丈夫かと電話やメールで気遣ってくれた。

「私でできることがありましたら遠慮なく連絡くださいね」「何かあったらいつでも声をかけてください」と言ってくれた。一人じゃないと思え、心強かった。