はじめに

自分が入社した会社が歴史も含めてどういう特徴をもった会社で、これから何を目指していくのか分からなければ、自分の能力をどの部署でどう発揮して良いか分からないし、果たして自分が役立つ人材なのか不安になる。同じ理屈である。

識者の中には若者に対する教育を説く方もいるが、原因の多くは本体にある。それから少子化も同じ理屈である。どういう国か分からなければ、安心して子どもを産み育てようとは思わないからだ。「手当て」の問題ではない。

では、本体の国のアイデンティティを明らかにするには、どうすれば良いのか。そんな時こそ、先人の思いを汲み取ることが有益と考える。どういう国であって欲しいと先人は思っていたのか、そしてどのような歴史を辿ったのか、それらを理解する中で、日本はどういう国なのか、あるべき論も含めて個々人が考える時代だと思っている。

この書が、そのきっかけとなれば幸いである。なお、あらかじめお断りしておきたいことがある。神の名前を省略したり、カタカナ表記をしたりすることを。そして、天皇や皇子を付けなければいけないのにそれを省略したり、代名詞を使う場合があることを。すべては読者にとっての読みやすさを第一に考えての措置である。

多くの漢字が並んで読みにくいと、途中で読むのを止める人も出てくるかもしれない。せっかくこの書を手に取ってくれた人に申し訳ないので、本文は神様や天皇・皇子より読者を優先する措置を講ずることとした。カタカナや代名詞で表記したからと言って、その神や天皇を軽んずるというつもりは毛頭ない。あらかじめ、ご了承願いたい。

二〇二四年四月吉日