【前回記事を読む】ストックホルムに着いてからしばらくして、機内で出会ったあの女性からメッセージが……どうする! ヨシ! 会ってみよう!
2 スウェーデン・ストックホルム
「ありがとう! ほんとうれしいですよ! 私もあなたと別れてから、あの人となら一緒に行動をともにできたら楽しいだろうな思っていたんですよ。あなたはあまりに若過ぎる。高齢者の話は、どうしても自分の過去のやってきたことが話の中心になるから、どうしても自慢話のようになってしまうのです。そこは理解してほしいですね。でもあなたとの会話はおもしろいからこれからもっと交流を深めたいですね」と、
SMSの上限670文字制限を一杯使ってでも、彼女に知ってもらいたいことを送りたいと夢中で作成した。でもわずか185文字だった。すぐに返答が返ってきた。
「永石顕治さん、ありがとうございます。失礼します、顕治さんとお呼びしていいですか」
「もちろんです。それでは、僕はチピタさんと呼ばせてもらっていいですか」
「“さん”はいらないです。顕治さんは大先輩ですから、私をチピタと呼んでください」
一気に、あの初対面の女性との距離が近づいたように感じた。
「顕治さんも旅慣れておられるからどこにでも行けると思いますが、私も指定された場所に行くことができます。場所を指定してください」
「本気だ!」チピタからの返答に顕治は何か清らかさを感じていた。
どこでお会いしようか。まだ到着したばかりのストックホルムだ。
そうだ、明日スウェーデン在住のサナさんと会うことになっている。この旅では大事な時間だ。ストックホルム25年以上在住のサナさんとのミーティングだ。