特に一人海外旅行者にとってありがたい仕組みが全世界に張り巡らされている。世界の至る所に日本人が在住していることを利用して、旅行者と在住者を事前に引き合わせてくれるビジネスがあることを顕治は知っていた。

今回の一人旅を安全に進めるには、挨拶程度の英語しか話せない顕治にとって在住日本人の方の情報が不可欠だと考えた。事前に連絡を取れたのが、ストックホルム在住のサナさんだった。

サナさんのプロフィールには、

居住地 ストックホルム

使える言語 英語、日本語、スウェーデン語

得意分野 大学、観光、グルメ、エコツアー、オペラやバレエ、美術鑑賞。ストックホルムに25年以上在住で、スウェーデンの大学で留学を含めたプログラムを担当。

趣味 ボートで群島巡り、美術館やオペラ、バレエ、コンサート・映画鑑賞、スケート等。

とあった。趣味も多くて楽しそう、頼りになる人だと思った。

「チピタ、それでは地下鉄のスルッセン駅改札を出た広場にある、5人の少女の銅像前でどうですか」

その場所は、サナさんが指定してくれた場所だった。サナさんには事前に知らせていないので驚かれると思うけれども、これから旅をする際にチピタにも聞いてもらっておいた方がよいのではと判断した。

チピタは、誰と会ってもきっと気持ちのよい対応ができる人だと思っていた。ただ、外から見て高齢の男性と娘とは言いがたい、見るからにお若い女性が一緒にいると、いろいろ勘ぐられるなと思った。