羽田空港~ドバイ首長国・ドバイ国際空港~
スウェーデン・アーランダ空港
2023年5月17日、74歳の永石顕治は久しぶりの羽田国際空港にいた。2020年5月19日(火)、3年前に旅程も完成しすべての手配も完了して、後は飛び立つだけの旅行がコロナ禍で阻まれた。
淡々とした日常の生活から飛び出したい衝動にかられていた顕治は、一人旅を再開するということでウキウキと心躍る気分だった。顕治の一人旅は、12年前に妻を亡くしてから寂しさを紛らすための旅として始まった。
しかし今や海外への旅は、顕治にとって五感をフル回転させ、体を動かす知的運動のようなものだった。これをいつまで続けられるのか、人生をかけた実験のような気がした。
深夜便0時5分発のエミレーツ航空313便でのフライトだから、16日午後9時には空港に到着していた。顕治は空港が大好きだった。空港は足早に通り過ぎる場所ではなく、国の威信をかけた秩序と安全、そして国民性が表現されている場所であり、そして空間自体が旅の楽しみとなる特別な場所だと顕治は考えていた。
羽田国際空港は東京湾に近く、都心からもアクセスがよい日本の代表的な空港の一つだ。成田空港も大きいが、都心から遠い。
到着ロビーに足を踏み入れると、広々とした空間が広がり、天井が高く自然光が差し込み、ゆったりとした時間が流れていく。
お土産ショップには、日本各地の名産品や伝統的な工芸品、さらには最新のガジェットやアクセサリーなど、高級で買うことはできないが、見ているだけで楽しい多彩な商品が並んでいる。レストランやカフェも豊富で、日本料理から世界各国の料理まで、幅広い選択肢が用意されている。
出発前に日本料理を食べることも、顕治にとっての楽しみになっていた。
特に、飛行機好きの顕治にとって、空港の展望デッキから見る飛行機の離着陸を眺めることは格別の楽しみだった。
巨大な飛行機の大迫力の離着陸を近くで見ることができ、青い空と飛行機のシルエット、そして都心のスカイラインが絶妙に組み合わさり、一つの絵画のような風景を楽しむことができた。
羽田国際空港は単なる一つの出発点や到着点ではなく、その空間自体が旅の楽しみとなる特別な場所だった。 旅立ちのワクワク感をさらに高めてくれるのが空港だ。顕治はこれまでも海外へは何度も行っているが、飛行機に乗ることへの恐怖をいつも感じていた。
飛行機が着陸してタキシング(飛行機がゆっくり駐機場まで移動すること)して地上スタッフにより駐機場に案内される。エンジンが切られると、機内の乗客そしてパイロットの、ほっとした気持ちが伝わるようだ。