そして待ち構えていた清掃スタッフが機内に入り、それと同時に飛行機周りを点検している飛行整備士がメンテナンスを始める。
そして目まぐるしく動き回る荷物の搬出と、次のフライトの荷物の搬入、この間、燃料補給の太いパイプが機体に繋がれている。 最後にパイロットが機内外を視認して完了という。
多くの人のお世話で、空の旅が安全はもとより快適なものになっているのだ。
しかし、飛行機が激しく揺れたときのあの恐怖。みんな平然としているけれどもきっと気持ちは同じだろう。
唯一の救いはキャビンアテンダントの笑顔だ。美人の女性アテンダントの笑顔。この人も一緒ならたとえ……などと気を休めたものだった。
旅行者はある日特定の期間にフライトを利用するけれど、日常のバス、電車などの交通機関と同じように、飛行機は毎日運行しているのだ。顕治は暇を見つけてはスマホやパソコンを利用して、興味があることを調べるのが好きだった。
早速、今この瞬間に空を飛んでいる人と飛行機の数を調べてみた。こんな情報も公開されているのかと驚いたものだ。なんと、数千から1万の数の飛行機が飛んでいることがリアルタイムでわかるスマホのアプリがあった。
1機に100名の乗客と計算すると、数十万から100万人の人が常時空を飛んでいることになる。もちろん時間帯、曜日、現在の旅行傾向によって大きく異なるが、顕治の予想を遙かに超える数字だった。飛行機事故の起こる確率はどのくらいになるのか。
あったあった。「事故が発生する確率は数百万分の1程度とされており、他の交通手段と比較しても飛行機は非常に安全な手段です」とあった。飛行機に乗ることが怖くて旅行をためらっている人に知らせてあげたい情報だが、やはり怖い。
何故あの巨体が空を突き進めるのか。翼の形状(翼型)、ベルヌーイの定理、揚力の発生と学問的に完璧な説明が用意されているけれど、それでも不思議だなぁと思うのだ。このようにすれば空を飛べるはずだという理論があり、そしてそれを実現するための技術がある。
造ったばかりの飛行機が最初から確実に飛ぶことができるのか、多くの飛行機が3分置きくらいに安全に着陸できるのか、飛行機が自力で滑走路を走行する仕組みはどうなっているのか、詳しくわからなくてもいいことだけれども、知りたいことだった。
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