【前回記事を読む】たまたま飛行機で出会った女性と旅をすることに。しかし、はたから見ると"高齢男性と若い女性"。「色々勘ぐられるな…」

2 スウェーデン・ストックホルム

待ち合わせの時間ギリギリに待ち合わせの場所に立つことができた。

サナさんと初対面、チピタとはワクワクの再会だ。どんなことになるのだろう。

まずサナさんが現れた。

「顕治さんですか。私はマスクをしていますがこれはアレルギー予防です」

ストックホルムではほとんどマスクをしている人がいない。「サナさんですか初めまして」と挨拶を交わした。事前に知っていたサナさんのプロフィールのイメージ通りで、すぐに会話できる雰囲気を感じた。

その横に成人されたお子さんも一緒だった。

そしてまもなくチピタも現れた。

「実は僕と同じように一人旅をされているチピタさんです。サナさんのお話を一緒に聞いていただきたいとお誘いしました」

サナさんは一瞬驚かれた表情をされたがすぐに丁寧に対応してもらい顕治はほっとした。

困った! トイレに行きたい。サナさんが来る前に近くのホテルに入り「トイレを貸してほしい」と顕治はお願いしたけれど、受付の女性はにこやかに「宿泊者以外は使えません」。他を探すがこの広場周辺が工事中でレストランも休業だった。

ちょっと間が悪かったけれど、サナさんにお会いした早々にトイレの場所をおたずねすることになってしまった。とにかく店がない、「大丈夫です、ヒルトンホテルを使わせてもらいましょう」と自信あり気なお言葉に救われた。

そこから歩いて3分ほどのホテルに案内してくれた。頼りになる方だ、本当に助かった! チピタがクスッと笑い顕治の動きに反応していた。もう格好つけなくていいや! さすがにヒルトンホテル、何のお咎めもなく快適に使用することができた。そして近くのロビーのソファでサナさんとチピタが待っていてくれた。

サナさんはストックホルム市内案内のための地図、博物館の地図、そして各電車の路線図などを用意してくれていた。顕治はサナさんに自分の一人旅についてお話しした。

「今回の旅の目的の一つは、友人に私の書籍を直接お渡しすること、そしてこれから1ヶ月にわたるヨーロッパ旅行での参考になる情報を知りたいのです」とお話しした。サナさんもこの特別な旅の目的に興味を示し、その友人の名前を聞いてきた。