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2 スウェーデン・ストックホルム
顕治の旅は、このボランティア活動とも意識的に関連付けられていた。 展示を見るということは相当の集中力と労力がいることはボランティア活動で知っていた。その時間を有効にするために、顕治は必ずネットで事前の学習をして訪問することにしていた。
そして展示内容を学び、実際にどのように展示されているか、展示の仕方にも興味があった。
ノーベル賞博物館の展示は、映像や模型、インタラクティブな展示など、さまざまな手法を用いて、わかりやすく、そして興味深く紹介されていた。
医学・生理学賞の展示で印象的だったのは、マリー・キュリー夫人の大きな写真と一緒に大小のさまざまな実際に実験で使われたフラスコがグリーンの輝きを発していたことだ。
キュリー夫人の研究成果を暗示しているものだった。有名な受賞者たちの研究成果を、映像や模型を使ってわかりやすく紹介していた。
とにかくほんの一部しか見学できなかったが、また訪問したいという思いと、ノーベル賞博物館を訪問したという事実が、しっかりと顕治の記憶に刻み込まれた。
顕治は体調もよく、熟睡できたおかげで疲れも残さず、サナさんとの打ち合わせ、チピタとの打ち合わせも終えてこれからの旅に夢膨らむ思いで、地下鉄とバスを乗り継ぎ、ヴァッテルスヴァーゲンから徒歩でサイモンの家に戻ることができた。
サイモンがコーヒーを入れてくれた。顕治はサイモンの顔、目をしっかり見て会話を試みた。大きな声で発音する、わかったふりをしない、翻訳アプリを使いこなすことを心がけた。
ちょっと会話が途切れると、はっきりした日本語で自信を持って話す。日本語を直接初めて聞くサイモンは興味深そうに口元を見ている。そしてアプリで翻訳された内容を顕治が英語で話す。