ホモ・エレクトスの時代(一八〇~六〇万年前)
人類学者のリチャード・リーキー(一九四四年~。ルイス・リーキーの長男)は、一九八五年にエチオピアのツルカナ湖周辺(図一参照)でツルカナ・ボーイの化石を発見し、ホモ・エルガステルと命名しました。
一七〇万年前の一二歳前後の少年の化石は、頭骨、四肢骨、躯幹骨の多くがそろっていて、ほぼ完全に近い全身骨格でした。成人になれば一七〇センチメートル余りになったと推定され、ほぼ現代人なみになっていました。
このホモ・エルガステルはその後発見されたホモ・エレクトスに分類上統一されましたが、東アフリカの初期ホモ属をホモ・エレクトスとは別種とするときにはこの名称が用いられます。
ホモ・ハビリスから分岐したホモ・エレクトスという新しい種は、脳も体も行動も変化したようでした(最近、一四四万年前のホモ・ハビリスが発見され、狭いツルカナ湖周辺で長期間、形態がかなり異なるホモ二種が共存することはあり得ないということで、ホモ・ハビリスはホモ・エレクトスとは共通の祖先から枝分かれし、現生人類へとつながることなく絶滅した種であるという説が出されています)。