第一章 アフリカのホモ属(ヒト属)
《二》ホモ属の進化(二六〇万年~二〇万年前)
ヒトらしくなったホモ・エレクトス
ホモ・エレクトスはホモ・ハビリスに比べ、より大きな脳容積、額の傾斜がゆるく小さな眼窩上隆起、より平坦な顔面、華奢で丸い頭骨、より現代人に近い歯列でした。
また歯はより小さく、現代人に近くなっていました。ホモ・エレクトスの骨格にはじめてヒトらしい特徴が見られるようになりました。
たとえば、腕の長さを比較すると、類人猿では腕の長さが足の長さより長かったのですが、ホモ・エレクトスはヒトと同じようになっていました。これは避難場所としていた木にとうとう別れを告げて完全に地上で生活することにしたということです。
また、樽型の胸郭は、小さめの腹部の上に位置していました。これは食事内容が豊かになり、肉食が加わったことを示しています。肉食が普及するにつれて消化管が短くなってきた様子が見て取れます。
これは火を使用するようになり、調理した食物を摂取するようになるとカロリーや脂肪の摂取量が増え、それがエネルギーを求めていた脳に栄養を与えてその進化をも促したと考えられています。