第二章
教習
すると教官は、いきなりバシッ!と指差棒を机に叩きつけた。
「あなたたちいい度胸しているわね。これから免許を取るってことがどういうことなのかわかってるのかしら? バイクは乗るだけじゃないってことをちゃんとわかってんの?
あなたたちがこれから免許を取るっていうことは、楽しみを手に入れると同時に、凶器を手に入れるってことを理解しているの?
自分の運転の過ちで人の命を奪うことになるかもしれないし、社会や人様に対して一生責任を負わなければいけない事故を起こすことになるかもしれないことをわかっていて、ここに座ってふざけているのかしら? 遊び感覚で免許を取るつもりなら……はい! お帰りなさい!!」
教官は扉を開け、三人を睨みつけた。
三人はすぐに立ち上がって「すみませんでした」と頭を深く下げた。
「皆さん、教習所ではバイクの乗り方だけを学ぶのではありません。ルールや法律、危機回避、予測、人命救助、社会責任など、小さな免許証たった一枚に、どれだけ大きな責任がのしかかっているか。
これらをしっかり勉強してもらい、安全に楽しいバイクライフを過ごせるように、これから私たちが責任を持って教えさせていただきます。では、改めて自己紹介させていただきますね。あなたたちを担当する秋元です。よろしく」
教室中のみんなが拍手をした。もちろん三人は立ったままで拍手をしていた。
オリエンテーションの講義が終わると、浮かれていた三人は反省していた。教官の言う通り、自分だけが楽しければいいと思っていたのは大きな間違いだった。
自分だけじゃなく自動車や歩行者、自転車に子供、お年寄り、いろいろな人が路上に出ている。万が一、自分の過ちで事故を起こせば、一生十字架を背負わなければいけない。
自分だけじゃなく家族や周りにも迷惑を掛けることになり、人生も百八十度変わる。その責任をしっかりと自覚してバイクに乗らなければならない。教習所に来て改めて気づいた自分が恥ずかしくて、三人はしばらく何も言えなかった。
教習所には大きく二つのテーマがある。一つは、交通ルールや法律、救護や危険予測など を学ぶ学科。もう一つは、実際にバイクを運転して基本から応用までのテクニック、路上に出る技術を学ぶ実技だ。
出会い
学科の授業が終わった後、さっそく実技の第一段階がスタートした。
翔太はプロテクターを装着し、手袋をはめ、ヘルメットを被って、コース横に停車しているバイクの横に立った。HONDA CB750だ。翔太が乗るCB1300よりも半分くらいのサイズだが、入門にはちょうどいいバイクだ。