もう10時になろうとしていた。山下名誉教授はお着きだろうか、松葉は気になった。車に乗った松葉は、携帯電話からアルミ鋳物工場に電話を入れてみた。よかった、まだお着きではない。安堵感が、じわじわと体の隅々にまで染み渡ってきた。後ろ向きの仕事と前向きの仕事との狭間で、気が滅入ってしまいそうになった自分に気合いを入れるようにして、胸を2、3度叩いた。よし! これでよし! 自分を奮い立たせた。よかった! …
小説の記事一覧
タグ「小説」の中で、絞り込み検索が行なえます。
探したいキーワード / 著者名 / 書籍名などを入力して検索してください。
複数キーワードで調べる場合は、単語ごとにスペースで区切って検索してください。
探したいキーワード / 著者名 / 書籍名などを入力して検索してください。
複数キーワードで調べる場合は、単語ごとにスペースで区切って検索してください。
-
小説『岬 上巻』【第17回】まつはじめ
東大名誉教授が工場視察。アルミ鋳物メーカー推薦リストに入れてもらいたい!入り混じる期待と不安
-
小説『レッド・パープル』【第14回】そのこ+W
弾丸が撃ち込まれ、辺りに硝煙が立ち込めた。日本人の命がアメリカ兵の百分の一の値打ちもなかった時代、僕の日常は…
-
小説『サイレントエース』【第7回】湯澤 明彦
「俺はもうだめだ。せめてこのメモを…」プロ野球選手を夢見ながらすい臓がんで亡くなった親友は、僕にノートを託して…
-
小説『千恵と僕の約束』【第16回】成田 たろう
抗がん剤の副作用で頭髪の脱毛に。ウイッグを付けるようになり、娘のママ友と会うのを避けるようになった妻
-
小説『岬 上巻』【第16回】まつはじめ
「何がご苦労さんなのか…」ニコニコしてこちらを見ていた駐車場係。まさか手形を割引拒否されていることを知っている?
-
小説『千恵と僕の約束』【第15回】成田 たろう
「リンパへの転移が見つかりました」手術後三カ月で再発。五年生存率は十パーセント。涙を抑えることができなかった…
-
小説『岬 上巻』【第15回】まつはじめ
メイン銀行の顔ともいえる駐車場係。「たいへんですね」と声を掛けられ、いつも通り挨拶を返すも内心は複雑で…
-
小説『千恵と僕の約束』【第14回】成田 たろう
四月上旬、家族三人で迎えた娘の入学式。娘がこの学校を卒業するのは六年後。妻が卒業式にも出席できますようにと祈った
-
小説『赤い大河』【第7回】塚本 正巳
「五円玉二枚と十円玉、交換してくれませんか」券売機の前に、殺気立った様子の変な女がいた。俺に気が付くと振り向いて…
-
小説『岬 上巻』【第14回】まつはじめ
「中小企業の会社と社長は常に一心同体、社長のやったことは会社のやったこと」ゴルフ場を手掛けたときに言われた厳しい言葉
-
小説『ヒスイ継承』【第3回】守門 和夫
消えた少女と老人を思い出していると、公園でまた一人、目の前で石に触れた人が消えた...
-
小説『千恵と僕の約束』【第13回】成田 たろう
手術二日後に大地震発生。娘と連絡が取れない!病院から約四時間かけて徒歩で娘の通う学校へと向かう
-
小説『標本室の男』【第16回】均埜 権兵衛
舞台は大都会東京へ。あらゆる物があるということは、何もないのと同じだった。
-
小説『岬 上巻』【第13回】まつはじめ
「生殺与奪」の権利を行使しようとする銀行!遂に企業の血液と言えるお金を抜こうと動き始める
-
小説『あわら温泉物語』【第3回】笹岡 一彦
新たな計画「ゆけむり創生塾」老舗・茜屋はあわら温泉活性化のため、全面協力!
-
小説『近づく果実 』【第17回】鈴木 寂静
何くそ、勝負の世界なんてたかが迫力の違いだ!責任の重さに打ち倒されそうになりながらも、負けず嫌いの根性が…
-
小説『千恵と僕の約束』【第12回】成田 たろう
3月上旬、がんの手術のため妻が入院。腫瘍が3カ月で約3倍の大きさに。全部取り切り、何も問題はないと思っていた、その時は。
-
小説『オヤジのチャーハン』【第4回】道葉 いち
改良を加えた新「生姜焼き」、その名も「ポークジンジャー」。意外なトッピングに常連さんにも大好評!
-
小説『岬 上巻』【第12回】まつはじめ
「いや、我々も困っています…」アポなしで支店長を訪問。困り顔とは裏腹に既に方針は固まっているようで…
-
小説『おーい、村長さん』【第11回】浅野 トシユキ
議長の秘書は不敵な笑みを浮かべていた。議長の選挙違反とも取られかねない行為や多額の使途不明金を知ってしまった私は…