【前回の記事を読む】「かたいのにどうやって、加工したの?」不可解なヒスイのまがたま。手がかりを求めて「縄文展」へ行くと―。

第2章 夏休みの自由研究

4 ヒスイとヒメの仮説

熱心な話しあいが続いた。

いつのまにか窓の外が、暗くなりはじめていた。

文子がパソコンから顔を上げて言った。

「オーケー。ほぼできあがったわ。あとは四人の名前を書いて印刷。波奈ちゃん、代表して青山先生に提出してくれる?」

悟と研一が顔を見合わせて、悟が言った。

「自由研究を始める前に、条件を出したこと覚えてる?」

波奈も文子も、声を合わせて返事をした。

「ええ。覚えているわ。二つ目は何?」

「四人の名前を書いて、提出するのはいいんだけど、みんなに発表するとか、掲示(けいじ)するときには、波奈ちゃんと文ちゃんの名前だけにしてほしいんだ」

研一も口を開いた。

「グループ研究で名前が出されると、よけいなゴタゴタが起きるんだ。な、悟くん」

「そう、男子の嫉妬(しっと)もバカにできないんだ。今の平和のバランスがくずれてしまうんだ。でも、いっしょに自由研究ができて、楽しかったよ。オレたちからの提案。ナンデモ研究会は、これからも続けようよ」

四人は、夏休みが終わっても、毎月第一日曜日にナンデモ研究会を開くことを約束して、解散した。