第3章 目覚めた勇士
1 青山先生の失踪(しっそう)
二学期が始まった。波奈(はな)は職員室にいって自由研究を青山(あおやま)先生に直接提出した。もちろん悟(さとる)と研一(けんいち)に頼(たの)まれたことは伝えた。
青山先生はレポートの表紙に書かれた四人の名前を見て、「ふーん」と、声を出した。
「よく研一くんと悟くんを、グループ研究に引き入れたわね」
意外そうだったが、感心しているようすだった。
「波奈ちゃんがさそったの?」
「声をかけたのは私ですけど、文(ふみ)ちゃんが、二人を候補にあげたんです」
「波奈ちゃんもそうだけど、文ちゃんとあの二人が、教室で話しているのを見たことがないわ」
「コブナ図書館で、文ちゃんはよく二人を見かけていたそうです」
「なるほどね。わかったわ」
青山先生は自由研究のレポートを二、三枚めくりながら目を通すと、顔を上げて言った。
「わかりました。二人の名前は出さないでおきましょう。おもしろそうな研究ね。あとでじっくり読んでみます。ところで、ナンデモ研究会は解散したの?」
「いいえ。これからも続ける予定です」
「それはいいことね。じゃ、この研究も続けることになるのね?」
「はい」
「それでは研究の続編も、必ず見せてくださいね。楽しみにしてるわ」
教室にもどると、悟と研一を見かけたが、一学期と同じだった。目を合わせもしなかった。ほかの人たちは、久しぶりに会うので、興奮して、さわがしかった。
悟と研一は二人だけで、もの静かに話していた。文子(ふみこ)は一人で静かに本を読んでいた。