【前回の記事を読む】「ぼろぼろのその靴がお前の人となり、だなんて俺には到底思えない」彼の手のぬくもりは、言葉よりも遥かに雄弁だった。永ちゃんの手がそっと離れる。「そんな……」思わず目を伏せると、白い紙袋が車の床に落ちていることに気付く。薬が処方されるときによく使われる、薬の名前や飲み方を記した小型の紙袋である。薬が中に入ってるのか、少し膨らんでいる。「あっ! ごっ、ごめん。永ちゃん、うっかり踏ん…
宗教二世の記事一覧
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小説『ツワブキの咲く場所』【最終回】雨宮 福一
何の薬だったんだろう…白い紙袋の表を、決して見せないように拾い上げた馴染みの友人。不安な気持ちを残したまま別れ…
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小説『ツワブキの咲く場所』【第23回】雨宮 福一
「ぼろぼろのその靴がお前の人となり、だなんて俺には到底思えない」彼の手のぬくもりは、言葉よりも遥かに雄弁だった。
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小説『ツワブキの咲く場所』【第22回】雨宮 福一
祈ったところで、何になるんだろう…カルト教団に洗脳され、結びついた両親。壇上に立つ老人は救世主でも神様でもなかった。
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小説『ツワブキの咲く場所』【第21回】雨宮 福一
子どもの私が、教祖と呼ばれていた壇上の老人に手を振る。思い出すのは、大人達の狂った言動と、視野が血で赤くなるほどの暴力。
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小説『ツワブキの咲く場所』【第20回】雨宮 福一
車に乗せられ、降ろされたのは人が集う場所。建物へ入ると、十字架が最初に目に入った。
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小説『ツワブキの咲く場所』【第19回】雨宮 福一
いつか中を見てくれ…心不全で亡くなった親友が残した段ボール箱。そっと開けると、そこには聖書が入っていて…
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小説『ツワブキの咲く場所』【第18回】雨宮 福一
ハムスターに嫉妬し、小さな命をそのまま土に埋めた。その後、主治医から家族と離れて暮らすことを提案され...
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小説『ツワブキの咲く場所』【第17回】雨宮 福一
ペットのハムスターを庭に生き埋めにした。手のひらに、脈打つ小さな心臓。皆が私の方を見た。私を、見てくれたのだと思った。
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小説『ツワブキの咲く場所』【第16回】雨宮 福一
まだ幼い妹を憎み、重ね合わせた…見殺しにした女の子と。丸裸に剥かれ、ぷらぷら揺れる小さな足に、黄色の靴下。
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小説『ツワブキの咲く場所』【第15回】雨宮 福一
「韓国へ行くの。聖地巡礼をしましょうね」激情が込み上げそれを拒否した。母に飛び掛かり、体を叩き続けた。
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小説『ツワブキの咲く場所』【第14回】雨宮 福一
「うっわ、だからあいつ、キムチ臭いんだ」小学校の休み時間、それは唐突に始まったいじめだった。
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小説『ツワブキの咲く場所』【第13回】雨宮 福一
「遊びに、行くのですか?」教会へ行くのって、そんなものなのか。キリスト教から想起するのは、かつて関わったカルト教団。
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小説『ツワブキの咲く場所』【第12回】雨宮 福一
キリスト教。何か一つのことを信じる場。宗教。私にとって、どれ一つとっても、避けたい存在だ。
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小説『ツワブキの咲く場所』【第11回】雨宮 福一
十四歳で統合失調症と診断されてから、警察沙汰になったこともあった。医師の提案で、家族と離れ別々に生活していくことに。
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小説『ツワブキの咲く場所』【第10回】雨宮 福一
男たちの群れの中、無抵抗に、人形のように揺られる少女の脚を見ていた。あの日救えなかった彼女と妹を同一視するように…
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小説『ツワブキの咲く場所』【第9回】雨宮 福一
久しぶりに書いた妹の名前。できない気持ちの塊が音や匂いを引き連れて、こちらへ近づいてくるような気配さえした。
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小説『ツワブキの咲く場所』【第8回】雨宮 福一
統合失調症に苦しみ、生きていた。誰かに自分の考えが読み取られているような、そんな感覚にとらわれていた。
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小説『ツワブキの咲く場所』【第7回】雨宮 福一
父と母の出会いのきっかけを妹にどう伝えるか悩み…そんな私のところへやってきたのは親友の「永ちゃん」だった
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小説『ツワブキの咲く場所』【第6回】雨宮 福一
宗教2世として生まれた彼女に選択肢はなかった。――「異端者だ」
ある日、老人をおじいちゃんと呼んだ少女の体は血と痣まみれになった。 -
小説『ツワブキの咲く場所』【第5回】雨宮 福一
統合失調症で離れて暮らす兄への手紙:三年以上返信がなければ、お兄さんにとっても話しにくいことなのだと思って、自分の心のうちにしまって生きていきます。
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