ラウルは大木の裏側に回り、火を起こす準備を始めた。慣れた仕草で、てきぱきと薪たきぎを集め、銅製の細い瓶から何か黒々しい液体、油を三滴落とした。ぱっとあたりは温かい炎に照らされた。小さなたき火がパチパチと心地よい音をたてた。ラウルは静かに腰を下ろし、たき火を見つめた。そのとき、突然彼ははっとして顔をあげた。険しい眼で、たき火の灯りの届かない暗闇をじっと睨にらんだ。反射的に右手は剣の柄つかを握ってい…
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