Slime Slime Slime
二人が城の入り口に着くと、そこには想像もつかないほど、素晴らしく大きな城下町が広がっていた。しかし、ゆっくり町を見学する暇もなく、二人は王の間へと通された。
王が、今か今かと待ち構えていたのである。玉座の後ろには大きな肖像画がかけられている。
挨拶もそこそこに、王はすぐに話を切り出した。
「スライムカフェの評判は噂で聞いておる。どうだ? 二号店を、この城の城下町に出す気はないか?」
この国の王は王でありながら、かなりのやり手だった。あの素晴らしい城下町も、ほとんど一代で築き上げたものだった。きっとビジネスの話をするために、二人を城へ呼んだのだろう。ミコトもタクもそう思った。
しかし、二人の本来の目的は別のところにある。伝説の剣を手に入れ、この世界を陰で操る暗黒の王から人々を救うこと、それだけだ。だが、実はこの王の方にも別の狙いがあった。この時、二人はまだそんな王のたくらみに、全く気付きもしなかったのである。
「ミコト、どう思う?」
二人は案内された部屋のバルコニーで、話をしていた。
「どうって、何がですか?」
ミコトが聞き返した。
「王の間に飾ってあった肖像画、ミコトも気付いただろ?」
ミコトは静かにうなずいた。
「あれ、どう見たって若い時の王様と、一緒に描かれてたのは、女王様とお姫様だよな? 二人はどこにいるんだろう?」
タクがそう言うと、ミコトは何故か浮かない顔をした。
少したってから二人は、再び王の間へ通された。
「まずは少し城の中を見て回ってはどうかな?」
王は自ら二人の案内役を買って出た。