そしてこの後、二人はとんでもないことに巻き込まれていくことになる。
最初に王に案内された場所は、コロシアム会場だった。
この日は特別な試合があるらしく、場内は観客で溢れかえっている。場外までも、中に入れなかった人達が立ち止まっていた。それほどまでに、コロシアムは沸き上がっていたのだ。
「こんなに人が溢れているなんて、一体何の試合ですか?」
タクが王に聞いた。すると王はタクに返事もせず、ミコトの肩を軽く叩いた。
そう、エントリーされていたのは、あろうことか、ミコトだったのだ!
「そんな無茶な!」
タクは王を引き留めようとしたが、すでに手遅れだった。反対側の入り口から、ミコトの対戦相手が入って来た。その姿を見て、タクはギョッとした。ミコトまでもが、呆気にとられ、固まっている。
「嘘だろ……。」
タクが驚くのも無理はない。ミコトの対戦相手は、タクのコピーであるドッペルゲンガーだったのだ! それはまるで、本物のタクの写し鏡のようだった。いくらコピーといえども、戦闘能力はタクと全く変わらない。同レベルだ。こんなことは普通あり得ない。タクとミコトの対戦だなんて、一体誰が考えたのだろうか。
「ミコト、いい試合を見せてくれ。」
王は楽しそうに笑っていた。コロシアム会場は大いに賑わっている。
この場所へ、一歩足を踏み入れたからには、もう後戻りすることは出来ない。戦うしかないのだ。そしてこれは遊びではない。負けることはすなわち、すぐさま死を意味するのだ。
「王様は、本気でミコトを殺す気か?」