【前回の記事を読む】妻と二人きりの休日のはずが、今日は部下が遊びに来ていた。「いつもなら妻の太もも枕でいい気持ちになっている時間なのに…」

第三章 新しい家族

「出来ましたよ。どうぞ」

テーブルいっぱいにピザとパスタ。

「おおー、美味しそう!」

「これはパイナップルと生ハムで作ってみたの。丈哉さん、パイナップル大好きなんです」

「あれ、僕も食べていいのかなぁ~、香子さん」

「ごめんなさい。どうぞ。うふふふ」

「凄く、美味しかった~。幸也、再来週、白太郎、連れていくからね」

「見たい。丈にぃ」と庭へ。

「犬ですか。私も見たいです」と、香ちゃんも庭へ。

「わぁ~、可愛いです」

「もう一匹、貰う方を探さなくっちゃな」

「ちょっと待ってください。貰っていいんですか?」

「ええ、里親探しているの」

香ちゃんがお兄さんへ電話。

「兄さん、聖也(せいや)の犬、どうした? まだ? 可愛い子がいるけど、どうする? 分かった。来週土曜日ね。専務、実家の甥っ子がほしいそうです。頂いていいですか?」

「ええ、良かった!」

二匹の新しい家族が決まった。嬉しいけど寂しい。香子、複雑な気持ちだろうな。

「香ちゃん、夕方は予定あるの?」と幸也。

「いいえ、ありませんが?」

「香子さん、お夕飯も食べたい。四人で」

「ええ、嬉しい。いいですよね。丈哉さん」

「あっ、い、いいよ」

こいつ、早く帰れって言ったのに! 夕飯まで一日つぶれたな。香子~。

四人で笑って笑って、とっても美味しい食事の時間だった。