Slime Slime Slime

二人は慎重に、再び歩き始めた。するとすぐに、幸運にも小さな洞窟が見つかった。これで寝場所は確保出来た。

ならば次に欲しいのは、火だ。ミコトがタクに聞いた。

「タクさん、ライターを持っていませんか?」

しかしタクはいつもタイミングが悪い。三日前から禁煙中である。

「ごめん、今日に限って持ってないんだよ。どうしよう?」

タクが申し訳なさそうに言った。

「いえ、大丈夫です。ならば別の方法でいきますから。」

ミコトはいつもと少しも変わらない。

「別の方法って言ったって、ここには何もないよ。どうするつもり?」

タクが心配そうにミコトに話しかけると、ミコトはまたしてもラーの鏡を取り出した。

「これで火を手に入れましょう。」

ミコトは、そこらに落ちていた黒い動物の毛を拾うと、日の当たる場所に行き、ラーの鏡で太陽の光を一点に集めた。すると意外にも簡単に、二人は火を手に入れることが出来たのだ。

(ラーの鏡をそんな使い方していいのかよ……。)

タクは少し複雑な気持ちだった。その夜、二人は焚火を囲み、タクの持って来た肉を焼き、食事をしながら暗黒の王や伝説の剣の話に花を咲かせていた。