シャルルが何のことだと言わんばかりに驚いた声をあげたので、カザルスは慌てて取り繕った。「いや、その、あの案は見事じゃ、名案だと……」バルタザールはあまりの可笑(おか)しさに声を漏らしそうになったが、すんでのところで俯いて笑いを押し殺した。「そう思うて下さいますか!」シャルル・ダンブロワが歓喜の声をあげた。「奇抜な案でございましたので、もしやカザルス殿のご心証を損ねはせぬかと内心びくびくでございま…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第15回】中條 てい
大至急、王の下へ使いを出し主従関係が成立したことを伝えるが、もしもこのことがイヨロンドの耳に入ってしまうと大変なことに…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第14回】中條 てい
瞳の美しさに思わず「おお!」と声を発してしまいそうになるのをやっと堪えた。それでもたまりかねて「見事じゃ」と小さく呟いた
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小説『ヴァネッサの伝言』【第13回】中條 てい
届いた一通の書状には、面白い筋書きが書いてあった。強欲女のイヨロンドの悔しがる顔が目に浮かぶようで愉快になったが…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第12回】中條 てい
母との骨肉の相続争いについて、もしかしたらこの青年が何か良い打開策を示してくれるかもしれない。期待して話してみたところ…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第11回】中條 てい
昨晩、父上が夢に現れて私に告げた内容にぴったり当てはまる者との出会いがあったが…。これはただの偶然だろうか?
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小説『ヴァネッサの伝言』【第10回】中條 てい
仮死で生まれたというのに容姿端麗で立派な姿の若者。強運の持ち主とも思える、この若者をこのまま追い返すには惜しい気がする…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第9回】中條 てい
荒馬をなだめて乗りこなしたという旅人は、さぞかし腕っぷしの強い豪壮な男だろうと思っていたが、その姿は意外にも…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第8回】中條 てい
父が急に病で死んだ。父はおそらく、母、イヨロンドに毒殺されたのである。急死する前、父に密に呼び出され、ある遺言書を託された…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第7回】中條 てい
妹のために準備されていた嫁入り支度を我が物にして玉の輿に乗ったイヨロンド。結婚してしまえばこっちのもの、とでも言うように…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第6回】中條 てい
大人の目を盗み、血の繋がらない幼い妹の耳元でそっとこう囁いたイヨロンド。「お前なんか、いつだって追い出してやれるのだからね」
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小説『ヴァネッサの伝言』【第5回】中條 てい
「この村の扉を開放して、みんなで堂々と外に出ていきたい」という青年。村で一番具合の悪い彼を必死に止めようとするものの…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第4回】中條 てい
生まれたときから体が弱く、幼い頃からずっと面倒を見てきた弟同然の青年。そんな彼からある衝撃の言葉を聞き…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第3回】中條 てい
外の世界から隔絶されたこの村から出ていくところを見つかり捕らえられた者がいた。遂に戻らず、火炙りになったのかもしれないと…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第2回】中條 てい
幾層にも複雑にひしめき合う巨石群。多くの旅人が道を失い屍を晒したこの地は「ギガロッシュの迷宮」と名付けられた魔境であった
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小説『ヴァネッサの伝言』【新連載】中條 てい
今自分が産み落としたはずの赤ちゃんが泣いていない…。生きているの? 安堵したのも束の間、あまりの静けさに現実に引き戻された
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