帰りの電車で座席に座ると、途端に嘘をついて先に帰ってしまったことの後悔が押し寄せた。家に帰ってからも、美香か誰かが手土産に持っていったケーキや焼き菓子を家に届けに来るような気がしてならなかった。そんなことは起こるはずがないのに、一度考え始めるとその妄想は止まらなくなった。嘘をついたことを咎(とが)めに来るのではないかという妄想にも苦しめられ、逃れたはずのケーキや焼き菓子に追いかけられるような気が…
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小説『アザレアに喝采を』【第7回】藤咲 えこ
生理は来ないことが当たり前になって、体重は36キロになった。目だけが大きく、何を着てもぶかぶか…食べることが怖い。
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小説『海辺のレクイエム』【第7回】源 久
恋人のふりをする彼女。日本人離れした色白の目鼻立ちの整った顔立ちだが、それ以上に男の目を惹く女だということを感じずにはいられなかった。
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小説『シュバルツ・ヴァルト』【第7回】萬野 行子
兄の車がフェンスに激突し、大破した。砕け散った破片がスローモーションで四方に飛び散った。そして私はたった一人の兄を失った
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小説『標本室の男』【第33回】均埜 権兵衛
もし死体ということになれば火葬にされかねない。生きたまま焼かれる…骸骨の空想は止まらない。
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小説『刑事狩り』【第11回】人見 謙三
「お前達! 誰の許可を得てホシをパクった?」「許可って、課長じゃないんですか?」上司の指示を無視して、俺が許可したことに…
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小説『カナダの風』【第11回】森園 初音
船底には、檻に入った若い娘たちがいた。外国の港に着くと、一人ずつ大勢の前に立たされ、「50ドル、若い子だよ」と…
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小説『雲海のエガミ』【第20回】こた
倒れている老人を助けたところ、「優しくしてくれたお礼に…」とあるものを渡され、そのあと老人は息を引き取った
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小説『千恵ねえちゃん』【第19回】城 唯士
自分の具合も悪いのに、お袋の面倒も店の手伝いも…。ガンが見つかったときにはもう手遅れだった。苦労ばっかりかけて…
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小説『ヒミツのレクイエム』【最終回】氷満 圭一郎
「ちょうど三年前の今日、僕はあの公園で首を吊った」…これが日記の最後だ。だが、頁をめくっていると、突然変な文字が現れ…
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小説『奥会津の人魚姫』【最終回】西田 理酉
亡くなる前に保険に入った彼女。保険金は満額、彼女の双子に下りたらしい。―実は生前、彼女はあれよあれよと保険の契約を…
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小説『レッド・パープル』【第16回】そのこ+W
満州では欲しい物は何でも手に入るほど裕福な暮らしをしていたが、あることがきっかけで一家の暮らしぶりは一転し…
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小説『サイレントエース』【第9回】湯澤 明彦
キャプテンは苦労人だ。父親には持病があって、母を支えるために家業を手伝い、弟妹の面倒を見る。限られた時間で…
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小説『イエスタデイを少しだけ』【新連載】惣才 翼
幼馴染と恋人―二人の女性への想いは全く別次元と都合よく考えて自己肯定していた自分に気付いた…
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小説『赤い大河』【第9回】塚本 正巳
今の打ち解けた雰囲気なら冗談で済むかもしれない…。「ところでさ、スリーサイズいくつ?」と、さりげなく呟いてみたところ…
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小説『ヒスイ継承』【第5回】守門 和夫
夏休みの図書館。音を立てないよう、いつも本を読んでいる二人へ近づく。無言で渡したメモの返答は......
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小説『近づく果実 』【第19回】鈴木 寂静
デイケアで「親孝行」をテーマにした話し合いで初めての司会。拍手をもらい、なんとか司会が務められたことに安心していたが…
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小説『標本室の男』【第32回】均埜 権兵衛
岬の突端に古びた小さな神社がある新潟県の海浜に来た骸骨。毎日ぼんやりと海を眺めながら…
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小説『おーい、村長さん』【第13回】浅野 トシユキ
扉を開けると目の前を白いものがすうーっと飛んでいった!その正体は…
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小説『メグ動物病院』【第9回】後藤 あや
診察室に入ると、さっそくメグ先生、うちの猫ハルを触りまくって、いっぱい話しかける。
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小説『人生の切り売り』【第9回】亀山 真一
欲していたのは経験だった。だからたいして好きでもない男の恋人になり、キスをして、初めてまでも捧げてしまった。