しかし本当に肝を潰したのはこの家の女主人の方だ。いきなり背後から、しかもどうにも抵抗できない姿勢でいるところへ侵入者が声をかけたのだ。胸のまん中でドクンと脈打つと血の気がさっと引いた。恐る恐る体を起こし、ふりかえってカーシャの姿を見るまで彼女は生きた心地もしなかった。ほっとすると溶けるように体が緩み、𠮟りとばしてやりたくても声も出なかった。「何持ってるの」相手が落ち着けばカーシャは平気だ。アニタ…
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小説『空に、祝ぎ歌』【第18回】中條 てい
「チョコレート? お前にはこれがチョコレートに見えるのかい。これはね…」秘密の一端を見られたが、この子なら…
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小説『光と闇の相剋』【第17回】髙嶋 郷二
わざとスカートの中が見える仕草をした…俺の視線を誘うように。―奇妙な建物で目が覚めると、近くにいた謎の女性が…
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小説『空に、祝ぎ歌』【第17回】中條 てい
引き寄せられるように、足がそちらへ向かった。―拾われたばかりの頃の怖い記憶から、普段は寄り付かないようにしていたが…
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第20回】山口 ゆり子
大きく跳ね上げられたのは、彼だった。―トラックとバイクの衝突事故の映像。バイクには、私が贈ったステッカーが…
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小説『乱世、一炊の夢』【第10回】安藤 恒久郎
海外への出兵を夢見る秀吉だが、各地で頭を悩ませる問題が発生。さらには、義宣のいる水戸城でも戦が始まる...!
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小説『空に、祝ぎ歌』【第16回】中條 てい
「馬鹿なことをしたもんだね。商売女に引っかかるなんて」「しっ! 聞こえるじゃないか」「あの子にそんなことわかりっこないよ」
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小説『ジュピターと仲間達 Jupiter & Friends』【第9回】ジェフリー 樫田
ミルクを家のテーブルの真ん中に置いた。これで朝食の準備が出来た。思わず、「母上は」と口にするも...
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小説『赤い靴』【第10回】高津 典昭
酔っ払って暴力を繰り返すDV夫や貧しい生活から、娘を切り離したい。どうしても高校進学させたかった。なのに…
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小説『透視男』【第12回】上田 晄暉
「透視力を他の者のために使ってきたようじゃな」仙人が現れ太郎を褒める。しかし太郎には更なる試練が待ち構えていて...
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小説『善悪の彼方に』【第12回】叶浦 みのり
「市内で放火があったことはご存じですか? 実はその家は…」―居眠りした学生の弁解。この生徒の父親は実業家で、以前焼死して…
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小説『空に、祝ぎ歌』【第15回】中條 てい
「お父ちゃんはお前と離れることが辛くてたまらない…」村のお金を使い込んで蒸発した父。その置手紙には…
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小説『弔いの回想録』【第4回】松田 浩一
「俺の受験番号が掲示されていない。悔しい」それでも友人は俺に補欠募集の受験をしつこく勧めてきて...
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小説『標本室の男』【第27回】均埜 権兵衛
東京では色々なものを見た…夕方の駅、恋人が現れた時の女性の表情。葬列で、崩折れそうな黒装束の女性たち。人間って本当に…
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小説『空に、祝ぎ歌』【第14回】中條 てい
目が覚めると、父がいない。「お父ちゃん!」声を荒げて探しても、見つかったのは白い封筒だけ。中を開くと父の筆跡があって…
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小説『上海の白い雲』【第9回】河原 城
最愛の妹の死、家族の離散、帰国しても帰る家がないこと…留学生活に辟易する中、母から届いた手紙には、力ない文字で…
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小説『哀瞳のレムリア』【第6回】岩下 光由記
「わたしが知らないことばかりだわ……日本人として恥ずかしい」フィリピンの希望、日本~侍の活躍が、歴史を変えた~
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小説『アザレアに喝采を』【第6回】藤咲 えこ
「食べ物に支配されている」…自分でも気づき始めていた。普通のダイエットではなく「拒食症」という摂食障害であることに
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小説『空に、祝ぎ歌』【第13回】中條 てい
「もう、街にはいかないで」―この子には、わかるのか。…出会わなければよかった。彼女を知らなければ、オレは今でも…
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小説『春のピエタ』【第6回】村田 歩
犯行前ノイローゼ状態で何度も親父にSOSを出していたお袋。それを一度も正面から受け止めようとしなかった親父
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小説『空に、祝ぎ歌』【第12回】中條 てい
「特別なお得意さんには、あたしたちが花を届けにいくのよ。どういうことかわかる?」親子ほど年の離れた彼女と出会ってしまい…