「離して!」有希(ゆき)の怒り溢(あふ)れる一声に驚き、俺は一瞬手を離してしまいそうだった。眼下に広がる絶壁を見ると手足がすくみ、思うように力が入らない。構えにも見える波が怒号のようなしぶきをあげる。ここで力尽きたら、俺は一生後悔する。揺れる焦点を手に合わせ、渾身(こんしん)の力で一気に有希を崖上まで引き上げた。「どうして助けるのよ」有希が顔を覆って泣き出し、俺は我に返る。再び有希が飛び降りたら…
サスペンスの記事一覧
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F1の技術が裏目に? 相次ぐ不審な自動車事故に潜む闇の正体は……
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評論『詐欺師×スパイ×ジェントルマン』【第9回】鱸 一成
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小説『ザ・キュレーター』【第3回】そのこ+W
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小説『指切り宗佐 愛恋譚 』【第3回】星河 三郎
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