【前回の記事を読む】「留置場ってどんな生活?」逮捕から戻った僕の答えに、教室が笑いに包まれた

スクリーン ~永遠の序幕~

ただいま

「ただいま」

親父が帰ってきた。急いで涙を拭う。母さんも同じだ。二人共親父に気を遣わせないようにしたのだ。親父の「ただいま」には生涯忘れられないエピソードがある。

――今から3年前、コンビニ高柳商店での出来事だ。

「本当に申し訳ありません。ほら、蒼斗も謝りなさい」

母さんはずっと頭を下げている。

「だから俺は盗ってないって」

その店には防犯カメラがない。

「では、君のバッグの中から出てきたものは何かね?」

「知りません」

「あのね、こうやって両親も来てくれているわけだし、素直に謝ってくれれば今回は通報する気はないんだよ」

俺は、いろんな気持ちであふれていた。

「あのー、高柳さん」

親父が少しうつむきながら前へ出た。

「そうですよ、お父さんからも蒼斗くんに言ってくれませんか?」

「いや、違うんです。蒼斗は盗ってないって言っているじゃないですか。無理やり言わせてどうするんですか? 蒼斗がやったという確固たる証拠があるというのなら、警察なりなんなり呼んだらいいと思います」

「あなた?!」

母さんはとても驚いていた。

「もちろん警察の調査には全面的に協力します。今すぐ警察を呼ばないのであれば私たちは帰りますので、必要なら連絡ください」

親父はそっと名刺を置いた。

「さあ、帰るぞ」