山陰の桜は遅い。プサンを発つ時も花ビラで送られ、今まさに車窓からは自分を追いかけてきたかのような桜のそれが舞っている。弘は思わず微笑んでいた。益田駅のホームにゆっくりと汽車は滑り込んだ。足が震えそうな感覚を感じ、思わず涙ぐむ。うつむいて切符を渡したあとは駅前のロータリーの端でタバコに火をつける。十七時半になっていた。電話がつながるのか、また電話そのものがあるのかも分からない。今夜は木賃きちん宿に…
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