6 現在
病院
「きみは日本へ行ってしまったと聞いていた。なのに、なぜ今チュンチョンにいるんだ」
ヒョンソクは尋ねた。
「ここにはもう二年いるわ」
彼女はどのように答えればいいかわからなかった。“言葉で説明できることだろうか?”と考えた。彼女は答える代わりに彼に問いかけた。
「今朝、なぜあなたはあんなことをしたの?」
ヒョンソクは答えなかった。
「答えなくていいわ」
彼が負担を感じないようにヨンミは言った。彼らは少しの間沈黙し、やがてヒョンソクが彼女に訊いた。
「どういうわけで、きみはこの病院に来たんだ?」
「父がここで治療を受けているの。今朝、父の主治医と面会して、病院を出ようとした時に、偶然あなたを見かけたのよ」
「どうして俺だとわかったんだ?」
彼女が答えないので、彼はまた問うた。
「三十二年経った俺の姿が一体どうしてわかったんだ……?」
ヨンミは、恥ずかしげにほほ笑みを浮かべて言った。
「あなたは裸だった。あなたのお尻を見たの」
彼は彼女の言葉の意味を理解した。……彼は尋ねた。
「チュ先生は日本から戻ってきたのか」
「ええ、自分の生まれ故郷で骨を埋めたいからって」
「チュ先生がそう望んだのか。意外だな」
「ええ、そうよ……ところで……あの子は元気?」
ヨンミは唐突に話題を変えた。ヒョンソクはうなずいた。彼女が彼の息子について訊いていると、彼にはわかっていた。
「名前は?」
「ジョンス」彼は答えた。
「とてもいい名前ね。お子さんはジョンスだけ?」
「ああ。俺は結婚しなかった。独り身のままだ。ただの年を取った独身男だよ」
ヨンミの目に驚きが表れた。彼は目を伏せ、沈黙が再び彼らを包んだ。