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彼らが再会して以降、ヒョンソクの顔に笑みが浮かんだのは、今日が初めてだった。それはまるで、悪夢から覚めたようなほほ笑みだった。ヨンミは、看護主任の反対を押し切ってまでヒョンソクを病院の外に連れ出してきてよかったと思った。ヒョンソクもそれを望んでいたということは、彼の表情を見ると明白だった。ヒョンソクのほほ笑みはヨンミにとって贈りものになった。
カフェのテーブルにコーヒーが二つ載っていた。
「ずいぶん長いことコーヒーを飲んでいなかった。どんなにいいものか忘れていたよ」
ヒョンソクは言った。彼が話を続ける。
「きみのせいだよ」
ヨンミは、彼が何の話をしているのかわからず、不思議そうに彼を見た。
「遠い昔、ヨンミが俺にコーヒーを持ってきたあの日以来、俺はコーヒーを飲むことができなかった。あのコーヒーのプレゼントは俺にとってあまりにも強烈で意味するものがとても多かった。あのプレゼントから君を感じたんだ。覚えているだろう? きみがコーヒーを持ってきたことを」
ヒョンソクはやさしい口調でヨンミに話した。
ヨンミは自身の記憶を探った。彼女は自分自身に言い聞かせた。“そう、そのとおりよ。私がコーヒーを持っていったわ……”彼女は彼の顔を覗き込んで、彼の視線がしっかりと彼女に固定されていることに気づいた。彼の表情はあまりにも真剣で、彼の顔はまるで彫像のようだった。彼女は目をそらして窓の外を眺めた。長い沈黙が続いた。
ようやく彼女は言った。
「一つ訊いてもいい?」
彼は彼女のほうへ顔を向けた。
「なぜあんなことをしたの?」
彼は彼女が何を言おうとしているのか考えた。彼女はまた尋ねた。
「あの日あなたがしたことよ。なぜこの世から去りたかったの?」
ヒョンソクは下を向いた。それから地平線のほうへ目をやり、長いこと口を開かなかった。
「どうすれば正しく伝えられるかな」
彼が言った。
彼女は彼の答えを待った。
「俺はただ、これまでの俺の人生にはあまりにも多くの問題があって、これ以上生きる価値がないと感じた。死んだほうがマシだと思った。これで答えになっただろうか」
それからしばらくの間、ヒョンソクは口をつぐんでいた。やがて深くため息をつくと言葉を絞り出した。
「生と死の境界線を体験したかったんだ。そこに別の世界があるような気がして」
「……境界線?」
「俺の人生は常に生ける屍のようなものだった。俺にとって、死は常に、極めて現実的な人生の一部分だった」
彼は続けた。
「病院できみに会っていなかったら、俺はいまだに生と死の境界にいただろう」
ヨンミは彼の言っていることを理解しようと、想像しようとした。たしかな現実の中で、ヒョンソクが言う生と死の境界線とはどのようなものだろうか。