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過去
区長の執務室
「それだけじゃない。お前も知っているように、私たちがヘグム学校の建設を予定していた場所には、ピアノ学校が建設される予定だ。市長がピアノ学校を支援していることもわかった」
区長の言葉に、ヨンジュの口は衝撃と怒りで大きく開いた。
「区長」
ヨンジュは訴えた。
「市長は前回の選挙の時に、ヘグム学校建設を約束しました。そう約束した時の演説を目撃した人は大勢いました。彼は約束を破った。このまま指をくわえて、ことが起こるのをみすみす許すわけにはいかない。この十年間、私はヘグム学校に多大な労力を注ぎ込んできたんです」
「ヘグムの先生も呼んで、私の家でこの問題について話し合おう」
区長が言った。
ヨンジュは顔をしかめた。区長は話を続けた。
「明日の音楽フェスティバルは行くのか? 行きたくないとしても、行ったほうが得策かもしれないな。市長がいらっしゃるから。明日、もう少し様子を見よう」