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翌日

町内の学校の運動場に作られた特設ステージ上にはピアノを弾く生徒がいて、その周りを、アコースティックギター、エレキギター、ドラム、ベースなど、さまざまな楽器を担当する生徒が囲んでいた。

ステージの上部には、《私たちのジャズフェスティバルを祝して》と書かれた横断幕が掲げてあり、三百人ほどの観客がステージ前の観客席に座っていた。草の上に腰を下ろしている人も、新聞紙の上や持ち運びできる椅子に座っている人もいた。各演目が終わるたびに熱烈な拍手が送られた。

ヨンジュは妻とヒョンソクの兄であるヒョンミンとともに、観客席の真ん中あたりに座っていた。観客たちの拍手は長いこと鳴り止まなかったが、ヨンジュの顔には、嫌悪の陰が漂っていた。特に妻と長男も一緒になって拍手していることが気に食わなかった。彼は二人に腹を立てた。二人は彼の苛立ちを感じ取り、拍手をやめた……。

司会者が次にヨンミを紹介し、彼女がステージに現れた。彼女がピアノへ向かい、その前に腰を下ろすと、大勢の人が拍手を送った。彼女は演奏を始めた。演奏を聴いている人の中には途中で “ブラボー! ブラボー!”と叫ぶ人もいた。ヨンジュは彼らを頭がおかしい連中かのように見回した。

「あいつら全員狂ってるな」

彼はつぶやいた。ヨンジュはみじめで沈んだ気分だった。彼はこのような種類の音楽が理解できなかった。苛立った彼は、空を見上げ、音楽を聴かないようにしてパイプを吹かした……。