母が失踪したことを告げる、電話口から聞こえてくる父の声は、恐怖と焦燥に満たされていた。私が実家を出てから二年三ヶ月後、その日の天気は数日連続の雨で、七月に入って半ばを過ぎても梅雨を引きずったような、嫌な雨の降り方だった。大学を卒業後、私は例のデザイン事務所にそのまま就職していた。最初の一年、もしくは数年は非正規採用になるかと覚悟していたが、大学四年時のアルバイト中の勤務態度が認められ、晴れてその…
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